2008 Fiscal Year Annual Research Report
キラリティ制御による単分子磁石と単一次元磁石の作り分け
Project/Area Number |
08J03603
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
濱松 武史 Kumamoto University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 単分子磁石 / 単一次元磁石 / キラリティ / 分子認識 / 銅 / ランタノイド |
Research Abstract |
この研究は「分子磁性」研究のハイライトである単分子磁石と単一次元磁石を作り分ける合成法を見出そうとするもので。ある。1993年のMn_<12>クラスターにヒステリシス、磁気緩和、量子効果が発見されたことに端を発する単分子磁石、単一次元磁石は「磁石」の概念を越えた物質であり、一つの分子があたかも磁石の様に働くものである。基礎科学的にも究極の分子デバイスとして実用面からも大きな注目を集めている。 自由電子をもつ金属イオンは単体でも磁気モーメント(磁石になる力)を持つ。それは単一の分子が磁石になりえる事を示しているが、その力は弱すぎるため現実には磁石にはなれない。よって磁石を作る為にはそれらの分子同士をつないで磁気モーメントを大きくする必要がある。私たちの身の回りにある永久磁石とはこのようにして作られているものである。対して、単分子磁石はこれと発想を逆にするものである。単分子磁石は分子単体の中に金属イオンを数多く含み磁気モーメントが大きい、さらに分子同士を孤立させる事により分子単体で磁石として働く。分子単体で磁石として振る舞う事がら性能は飛躍的に向上する。 しかしながら、単分子磁石になる条件を満足した遷移金属クラスターを分子設計して合成することは難しく、磁石として働く温度も極低温に止まっている。申請者の所属する研究室は環状4核3d-4fヘテロ金属集積による新規の単分子磁石の合成法を提示して注目を集めた。これを一次元構造に誘導し、さらにそれを単一次元磁石へと導くのが研究の目的である。
|