2008 Fiscal Year Annual Research Report
マントル流体の分光学的その場観察及びその地球化学的性質の解明
Project/Area Number |
08J03621
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒川 雅 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントルシ流体 / 二酸化炭素 / 氷 / ラマン今光法 / 赤外分光法 / 中性子回折 / 水素秩序化 / 高圧 |
Research Abstract |
常圧での氷に含まれる水素原子は、無秩序な配列をしている。しかしながら、低温では水素が秩序化し、強誘電体の氷ice XIへと相転移する。近年中性子回折実験により、ice XIが生成するための温度条件が精密に測定され、宇宙における存在がされた。強誘電性を持つ氷ice XIが惑星の形成に大きな影響を与えたことも示唆されている。このice XIが宇宙に存在する直接的な証拠を得るためには、その赤外スペクトルの詳細なプロファイルを実験室で得ることが必用不可欠である。今後電波望遠鏡や惑星探査により、宇宙に存在する氷の性外スペクトルが得られるからである。しかしながら、氷の赤外吸収が非常に大きいため、ice XIの赤外スペクトルは得られてこなかった。そこで、低温の氷薄膜を生成し手精密に温度をコントロールし、赤外吸収スペクトルの測定を行った。それにより、初めてice XIの赤外吸収スペクトルの測定に成功した。現在、論文を執筆している。宇宙における強誘電体氷の発見に貢献する重要なデータが得られたと言える。 また、日本原子力研究開発機構(JAEA)及び米国Oak Ridge National Laboratory(ORNL)にて、粉末中性子回折の実験を行った。測定は、JAEAの原子炉JRR-3に設置された分光器HRPD、パルス中性子源J-PARCのBL19、ORNLの原子炉(High Flux Isotope Reactor)に設置されたWANDで行った。得られたデータのリートベルト解析を行い、構造を精密に決定した。一連の研究により、これまで報告されていたよりも高い温度での水素秩序化氷の生成を確認した。これにより、宇宙において強誘電体氷が存在すると考えられる領域が広がった。現在論文を執筆している。 高圧下における氷の状態を調べるため、高圧発生装置の開発も同時に進めている。
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Research Products
(7 results)