2009 Fiscal Year Annual Research Report
マントル流体の分光学的その場観察及びその地球化学的性質の解明
Project/Area Number |
08J03621
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒川 雅 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 氷 / 水素秩序化 / 中性子回折 / 赤外分光法 / ラマン分光法 / 惑星 / 氷天体 |
Research Abstract |
氷に含まれる水素原子は、無秩序な配列をしている。しかしながら、低温では水素が秩序化し、強誘電体のice XIへと相転移することが知られている。近年中性子回折実験に基づき、宇宙における氷XIの存在が提唱された強誘電性を持つ氷XIが惑星の形成に大きな影響を与えたことも示唆されている。この氷が宇宙に存在する直接的な証を得るためには、その赤外スペクトルの詳細なプロファイルを実験室で得ることが必用不可欠である。しかしながら氷の赤外吸収が非常に大きいため、ice XIの赤外スペクトルは得られてこなかった。そこで、低温の氷薄膜を生成、赤外吸収スペクトルの測定を行い、初めてice XIの赤外吸収スペクトルの測定に成功した。宇宙における強誘電体の発見に貢献する重要なデータが得られたと言える。この結果は米国天文学会誌に掲載された。また原子力機構におてプレス発表を行い、多くの報道機関でも取り上げられた。 また、日本原子力研究開発機構(JAEA)及び米国Oak Ridge National Laboratory(ORNL)にて、粉末中性子回折の実を行った。測定は、JAEAの原子炉JRR-3に設置された分光器HRPD、ORNLの原子炉(High Flux Isotope Reactor)に設されたWANDで行った。得られたデータのリートベルト解析を行い、構造を精密に決定した。一連の研究により、氷の安定領域よりも高い温度において、局所的に水素が秩序化した領域が存在する可能性が示された。この結果は学術誌に掲載された。また、この現象を詳しく解明するため、時間分割中性子回折実験を行った。我々はこの現象を水素序化のメモリー効果と名付け、現在新たな論文を執筆中である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] High-pressure experiments with the engineering material diffractometer(BL-19)at J-PARC2010
Author(s)
J.Abe, T.Hattori, K.Komatsu, H.Arima, M.Arakawa,, A.Sano, H.Kagi, S.Harjo, T.Ito, A.Moriai, K.Aizawa, M.Arai, W.Utsumi
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Journal Title
Journal of Physics : Conference Series (印刷中)
Peer Reviewed
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[Journal Article] A cubic-anvil high-pressure device for pulsed neutron powder diffraction2010
Author(s)
J.Abe, M.Arakawa, T.Hattori, H.Arima, H.Kagi, K.Komatsu, A.Sano, Y.Uwatoko, K.Matsubayashi, S.Harjo, A.Moriai, T.Ito, K.Aizawa, M.Arai, W.Utsumi.
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Journal Title
Review of Scientific Instruments (印刷中)
Peer Reviewed
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