2009 Fiscal Year Annual Research Report
チビアシナガバチ族にみられる分断された分布成立過程の系統学的・生物地理学的研究
Project/Area Number |
08J03623
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
斎藤 歩希 Ibaraki University, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 昆虫分類学 / 昆虫系統学 / 生物地理学 |
Research Abstract |
本研究は、生活様式や社会構造が社会性狩蜂のなかでも最も多様であり、行動学的・社会生物学的研突においても注目されてきたアシナガバチ亜科において、未だに分類学的研究の進んでいないParapolybia属の種分類を整理するとともに、チビアシナガバチ族全体を網羅した属間・種群間の頑健な系統関係仮説を構築し、旧世界でチビアシナガバチ族の様々なグループに見られる分断分布の成立要因、またRopalidia属で見られる2つのコロニー創設様式について考察することが目的である。本研究によって、社会性狩蜂で見られる複雑な社会構造の進化、および旧世界の熱帯域を中心に分布する昆虫類の生物地理学的研究において参照可能なフレームワークを提供できる。 本年度はParapolybia属について形態形質の重要性に着目した分類学的研究を進め、学会へ発表した。さらに台湾にて現地調査を行い、チビアシナガバチ族の標本採集を行うとともに、台湾各地の標本収蔵機関にてアシナガバチ類のタイプ標本等を精査した。 また、Ropalidia族において前年度までに収集した、成虫形態形質、ミトコンドリア遺伝子の塩基配列データなどにさらに補完をすすめ、より頑健な解析を目指してマトリックスの更新を進めた。得られたマトリックスについて暫定的な系統解析を行った。またRopalidia族のみならず、本族の系統関係を構築する際に外群として用いるほかのアシナガバチ亜科・スズメバチ亜科についても同様に種レベルで形態形質・生態学的形質・分子データなどを収集した。またこれらの成果の一部については学会大会にて順次報告し、また学会誌にも投稿を準備中である。
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