2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるSurvivinとAurora-Bの発現異常とその意義に関する研究
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08J03632
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
斉 広瑩 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Survivin / Aurora-B / head and neck cancer |
Research Abstract |
本研究において、口腔扁平上皮癌(OSCC)における染色体パッセンジャータンパクであるSurvivinの核における発現がAurora-Bと協調的に癌の進展にかかわることを明らかにした。興味深いことに、SurvivinのknockdownによりAurora-Bの発現は減少し、Aurora-Bのknockdownにより核のSurvivinの発現が減少した。この結果は、SurvivinとAurora-Bの相互作用がそれらのタンパク質の安定性に影響を及ぼす可能性があることを示している。また、最近、SurvivinとAurora-Bタンパクはユビキチンープロテアソーム経路によって発現量が調節されていることや、Survivinの核へ移行が分解を促進することが報告されている。しかし、Survivinの分解の詳細な分子メカニズムやSurvivinとAurora-Bの相互作用が分解にどのように関わるかは明らかになっていない。そこで、SurvivinとAurora-Bとの相互作用がどのようにタンパクの安定性に影響を及ぼすかを検討した。OSCC細胞では、Survivinのknockdownで、Aurora-Bタンパクの半減期が短く、Aurora-BのKnockdownで、Survivinタンパクの半減期が短くなり、SurvivinとAurora-Bとの相互作用がタンパクの安定性に影響を及ぼす可能性があることが示された。また、プロテアソーム阻害剤を投与すると、Knockdownによって発現低下したSurvivinとAurora-Bタンパクは増加したことから、SurvivinとAurora-Bの相互作用が、ユビキチン分解を阻害することが示唆された。また、Aurora-BによるSurvivinのThr117のリン酸化が分解に影響を及ぼすのではないかと考え、リン酸化欠失変異体(T117A)およびリン酸化模倣型変異体(T117D)を作成し、WTとタンパクの安定性を比較したが、Aurora-BによるT117のリン酸化は、Survivinの安定性に影響を及ぼさなかった。以上より、OSCCにおけるSurvivinとAurora-Bとの相互作用が、ユビキチン分解を阻害しタンパクを安定することが明らかとなった。タンパクの安定化によるSurvivinとAurora-Bの過剰発現が、協調的に癌の発生や進展に関与することが示唆された。
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Research Products
(3 results)