2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルジェネティクスを利用したサイクリン依存性キナーゼ1と2の機能解析
Project/Area Number |
08J03645
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
デッスポン D Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 癌 / ゲノム / 細胞・組織 / バイオテクノロジー / 放射線 |
Research Abstract |
我々は、標的組換えが高頻度でおこるニワトリBリンパ細胞株、DT40を使って、相同組換え機構を解析している。相同組換えは、40種類以上の分子が関与する複雑な生化学反応である。我々は、BRCA2、PALB-2、FANC-Cの遺伝子破壊細胞を作った(FANC-Cは京大・放生研の高田教授から譲渡)。以上の3種類の遺伝子は、相同組換えに関与するだけでなく、ファンコニ貧血(常染色体劣性、ケミカルクロスリンカーのみに高感受性、変異蓄積による高発がん)という遺伝病の原因にもなる。 ファンコニ貧血の原因遺伝子は、13種類同定されている。ただし、これらの遺伝子にコードされたタンパク分子が、全部単一のDNA修復経路において機能するのか、それとも一部の分子は別のDNA修復経路において機能するのか不明であった。とくに、BRCA2とPALB-2を完全遺伝子破壊した細胞は、ケミカルクロスリンカーのみならず、X放射線、紫外線にも高感受性を示すようになる。一方、他のファンコニ貧血の原因遺伝子は、その破壊細胞が、ケミカルクロスリンカーのみにしか感受性を示さない。ゆえに、BRCA2とPALB-2とは、他のファンコニ貧血の原因遺伝子(FAコンプレックスの構成因子をコード)がコードするタンパクとは別のDNA修復経路で機能している可能性があった。 我々は、BRCA2欠損細胞、PALB2欠損細胞、FANC-C欠損細胞、PALB2/BRCA22重欠損細胞、FANC-C/BRCA22重欠損細胞の以上5種類のミュータントの表現型を比較した。2重欠損細胞は、1つの遺伝子が欠損した細胞より表現型が重篤になることはなかった。よって、PALB2およびBRCA2は、ケミカルクロスリンカーによって生じたDNA損傷を修復する場合には、FAコンプレックスを構成する分子と共同して機能すると結論した。
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Research Products
(1 results)