2009 Fiscal Year Annual Research Report
サケ皮コラーゲンを用いた血管導入型新規細胞シート支持担体の開発
Project/Area Number |
08J03665
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金山 寿之 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サケ皮コラーゲン / キトサン / 細胞シート |
Research Abstract |
細胞シート工学では細胞シートを積層することで生体外で三次元的に組織を構築することが可能だが、細胞シートの機械強度の低さによる操作性の困難さや組織が大きくなるに連れて組織内部の細胞が壊死するという問題がある。この解決には細胞シートを支持体を用いて操作できること、構築した組織内部への血管系の導入が必要である。我々はサケ皮コラーゲンで線維化時に架橋を行うことで強度が高く、細胞親和性に富んだゲルの開発に成功している。コラーゲンは血管内皮細胞(EC)との親和性が高く、管構造への分化に重要であることが知られている。本研究はサケ皮コラーゲンを用いて、ECによる血管系をもつ細胞シート支持担体の開発を目的としている。塩酸に溶解させたサケコラーゲンとキトサンの混合溶液をEDCで架橋した後、凍結乾燥をして作製したシートは支持体として十分な強度を持ち、内皮細胞の増殖も良好であることが分かったため、この複合化シートによる線維芽細胞からなる細胞シートの重層化を行った。従来の細胞シートの直接操作と比較して細胞シートにダメージを与えずに操作できることを、細胞生存率をMTTアッセイで評価することで確認できた。また、重層化した細胞シート間に複合化シート上のECが生着することも切片の組織免疫染色により確認できた。 以上より、コラーゲンとキトサンの複合化シートは細胞シートを支持することで細胞シートの積層操作を簡便にし、細胞シートと支持体を重ね合わせていくことで組織内部に血管系を導入できる新規デバイスとして期待される。
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