2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性熱水環境由来の好熱性鉄還元微生物が産生する導電性ナノワイヤーの探索
Project/Area Number |
08J03694
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川市 智史 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海洋性熱水環境 / 好熱菌 / 極限環境 / 鉄還元菌 / 導電性線毛 / ナノワイヤー |
Research Abstract |
海洋性の好熱菌は、その生体構成分子が耐熱性・耐塩性に優れている。本研究では、海洋熱水環境由来の新規バイオマテリアルとして、鉄還元微生物が産生する導電性線毛(微生物極ノワイヤー)の探索および応用展開を目的としている。 本年度は、その候補微生物の分布に関する情報・材料収集として、鹿児島県山川町沿岸熱水環境において研究を進めた。三価鉄量や温度などの現場環境データの測定を行った。その結果、砂浜地下の岩盤から熱海水が湧出していることが確認できた。これは、現場環境地下における熱源構造の一端を明らかにするものである。また、鉄還元菌にとって利用しやすいとされるアモルファス鉄量が、ホットスポットを中心に非常に多い(約16mmol/g sediment)ことが明らかになった。これは、現場の砂質が火山灰質であることに起因すると考えられる。さらに現場環境を考慮した6種類の試料を採取し、各試料から直接DNA抽出を行い、16S rDNAクローンライブラリーを作成し、分子生物学的な微生物多様性解析を行った。その結果、ホットスポット地下において、本研究室にて鉄還元能が確認されているAeropyrum属、あるいは既に鉄還元能の報告がなされているPyrobaculum属に近縁な古細菌が多く検出された。また、水深2500mの深海熱水孔から分離された鉄還元菌Geogemma属に近縁な古細菌も検出された。以上から、山川町沿岸熱水環境には豊富なアモルファス鉄を最終電子受容体として利用可能な鉄還元菌が生息していると考えられる。
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Research Products
(4 results)