2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的カテゴリーの相対的有意味性モデルの提案と検証
Project/Area Number |
08J03696
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 健一郎 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内集団アイデンティティ / 集団内相互作用 / 内集団の社会的価値 / 相乗効果 / 相対的有意味性 |
Research Abstract |
本研究では、内集団アイデンティティ(以下、内集団ID)を題材とする社会的カテゴリーの相対的有意味性モデルを提案し、検証することを目的とする。初年度は、中島他(2007)の知見を基に、内集団の社会的価値を重要している個人を対象にした集団実験を実施した(n=85)。実験デザインは集団内相互作用(2;なし/あり、参加者間)×内集団の社会的価値(2;低/高、参加者間)×内集団ID測定時期(3;time1/2/3、参加者内)であり、集団内相互作用と内集団の社会的価値操作後に測定したtime3の内集団IDに対して両者の相乗効果が認められることを予測していた。 集団実験の結果、予測通りtime3の内集団IDに対する交互作用効果が認められ準。つまり、内集団成員と相互作用を行い、かつその集団に高い価値が付与されることによって成員の有する集団の一員としての意識が顕著に高まることが示された。これは、集団内相互作用と内集団の社会的価値が、内集団IDに対して互いに影響し合うことなく単独で作用するのではないことを示している。以上より、社会的カテゴリーの相対的有意味性モデルには一定の妥当性のあることが確認された。なお、上記の知見は2008年の日本社会心理学会(於:鹿児島)において発表された。 今後は、Nakashima et al.(2008)や中島他(印刷中)を基に本モデルの拡張可能性について検討する予定である。具体的には文化的自己観(Markus&Kitayama,1991)や自尊心脅威状況(e.g.,Gartmer et al,2005)を取り上げ、より詳細な内集団IDの変動メカニズムの説明を試みる。
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Research Products
(5 results)