2008 Fiscal Year Annual Research Report
弥生・続縄文時代の東北日本における資源利用・居住システムの研究
Project/Area Number |
08J03699
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大坂 拓 Meiji University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 土器型式編年 / 弥生時代 / 続縄文時代 / 縄文時代晩期 / 大洞式土器 |
Research Abstract |
2008年度の通年の研究課題として設定した、慶應義塾大学考古学研究室に所蔵される下北半島佐井村八幡堂遺跡出土土器群の整理成果を発表し、年度末に報告書としてまとめた。この資料群は1968年に発掘されて以来、40年間にわたって未整理の状態にあったが、その量的まとまりが資料の蓄積が進んだ現在の視点から見ても稀有の規模を有していることが、整理を通じてあらためて明らかになった。 また、その土器群の型式変遷を論文としてまとめて報告書に掲載した。この論文では、先行研究で重視されてきた文様の変遷という観点の有効性に対する疑義を提起する意見を提示した。これは、東北地方全域における共通した文様変遷と、それを理論的根拠とする「亀ヶ岡文化圏」いう現在までの主要なパラダイムを転換する可能性を内包している点で極めて重要な成果と位置付けることができる。この点に関しては、東北地方の南部でも併行関係にある土器群を整理して、先の想定を裏付ける成果が得られたため、現在論文を投稿して受理されている。編年の見直しによって、多くの分野で既存の解釈が見直しを行われる可能性も主張した。 ただし、現在なお資料の空白が大きいため、2003年から継続して調査している青森県江豚沢遺跡の発掘調査に参加し、下北地域における土器群の新資料を提示した。この報告では、炭素14年代測定法を利用して土器変遷のクロスチェックも進めている。
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Research Products
(3 results)