2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病に関連した小胞体フォールディング酵素の機能解析
Project/Area Number |
08J03706
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田濱 裕之 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ob / obマウス / ER-60 / レプチン / 小胞体ストレス / HepG2 / ATF6 / XBP-1 / パルミチン酸 |
Research Abstract |
昨年度構築したモデル系を用いて、パルミチン酸によって小胞体ストレスを惹起させたHepG2細胞では、小胞体分子シャペロンであるER-60およびBiPのmRNA量が増加している事を明らかにした。またこの増加は、エネルギーセンサーであるAMPKの阻害剤Compound Cによって抑制されることを示した。オレイン酸あるいはドコサヘキサエン酸をパルミチン酸と共添加すると、小胞体ストレスは緩和されたが、ER-60やBiPのmRNA量は低下しないことを明らかにした。また、昨年度作製したER-60を肝臓特異的にノックアウトしたマウスに高脂肪食を4週間摂取させたところ、血中トリアシルグリセロールの量が野生型マウスと比べて低下していることを見出した。さらに30週間の高脂肪食を摂取させると、体重増加が野生型と比べて10%程度抑制されていたが、脂質代謝の指標となる成分には差がないことを見出した。さらに、エネルギー代謝調節ホルモンであるレプチンと脂質代謝及びタンパク質代謝の中心オルガネラである小胞体機能との関係という新規な視点で研究を行った。レプチン欠損(ob/ob)マウスにレプチンを腹腔内投与する事で、脳におけるER-60を初めとした小胞体分子シャペロン(ER-60,ERp72,PDI,P5,BiP)のタンパク質量およびmRNA量は、いずれも増加する傾向があることを見出した。一方、脳室内投与すると、脳および肝臓におけるER-60等の小胞体分子シャペロンのタンパク質量およびmRNA量には変化がないことを見出した。小胞体分子シャペロンの発現が低下しているレプチン欠損(ob/ob)マウスでは、野生型マウスと比較して小胞体ストレス応答の指標の一つであるPERKのリン酸化が増加しているが、小胞体分子シャペロンの発現を調節するXBP1のスプライシングやATF6の量には差が見られないことを明らかにした。フォールディングに関するタンパク質の発現がレプチンのシグナルによって調節されていることを示した。
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Research Products
(4 results)