Research Abstract |
グラフの不変量"diff"は,そのグラフの最長道の頂点数と最長閉路の頂点数の差として定義される.diffが小さいとき,グラフがハミルトン閉路に類似した閉路的に"良い性質"を持つこともわかっている.この理由から,diffが小さくなるための十分条件の考察が重要なものとなっている.その中で,私はdiffが2以下となるための十分条件について研究を行い,次の二つの結果を得た. ・3-連結グラフで任意の独立4頂点次数和が頂点数+6以上ならば,diif2以下である. ・2-連結グラフで任意の独立4頂点次数和が頂点数+3以上ならば,diff2以下であるかハミルトン道を持つ.また,グラフのハミルトン性を考察する際に,ある程度長い閉路の存在を考えることがある.本研究では,その最長閉路の長さと,上に上げたdiffに関して,以下の関連が示すことができた. ・3-連結グラフGは,長さが「独立3頂点次数和の最小値-3」以上の閉路を持つか,diffが1以下となる.この結果は,Fraisse and Yungの1989年の結果の拡張になっている.以上のように,本年度はdiffが小さくなるための十分条件,特にdiffが2以下及び1以下について考察を行った.また,それ以外にも,7.研究発表(1)学会誌等への発表で述べるように,グラフのハミルトン性に関する研究,指定した辺を通るようなハミルトン閉路の存在に関する研究,prism-hamiltonianという,diffとは別のハミルトニアンへの近さに関する研究などの結果を残している.
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