2008 Fiscal Year Annual Research Report
孤立単層カーボンナノチューブの光デバイス応用に向けた形態制御直接合成と光物性解明
Project/Area Number |
08J03712
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮内 雄平 Kyoto University, 化学研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 励起子 / 量子効率 / フォトルミネッセンス / 発光 / 輻射寿命 / 発光寿命 |
Research Abstract |
2002年に単層カーボンナノチューブを孤立化することで蛍光発光することが明らかとなって以来,ナノサイズ光デバイスとしてのナノチューブ応用を目指して,様々な研究が世界中で進められている.単層カーボンナノチューブの光デバイス応用のためには基礎的な光物性の解明が不可欠であることから,本年度はまず,光物性測定に不可欠な高品質の孤立ナノチューブ試料を得るための研究を行った.高品質ナノチューブは独自に開発したアルコールCVD法により合成し,ごく最近海外のグループから発表されたPFO分子を用いたナノチューブ分散法を採用したところ,非常に高品質な孤立ナノチューブ試料を得ることが可能となった.この試料を用いて,発光量子効率と発光寿命を測定することで,励起子の輻射寿命を決定し,発光メカニズムに関する重要な知見を得た.近赤外領域におけるナノチューブの発光寿命の測定にはフェムト秒励起相関分光法を用いた.ナノチューブに関しては,相関信号からの寿命の推定にかかわる理論が未だ構築されていないため,実験と並行して非線形信号の起源とそれにより得られる相関信号に関する理論的な検討も行った.最終的に,発光寿命がナノチューブの直径に依存して短くなる傾向があることが明らかとなった.発光の量子効率については,リファレンス色素を用いた相対法により測定を行い,量子効率についてもナノチューブの直径に大きく依存することを明らかにした.このようにして得られた発光寿命と量子効率から,ナノチューブの輻射寿命が数ナノ秒程度であることが明らかとなった.これらの知見はナノチューブの光物性の解明と,光学特性の改善に向けて重要な示唆を与えるものである.
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Research Products
(7 results)