2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫初期胚での腸特異的なcis-regulatory elementの予測と同定
Project/Area Number |
08J03719
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
森 明弘 National Institute of Genetics, 生物遺伝資源情報総合センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | シス配列 / DFA-12 / 時期特異的発現制御 / プロモータデザイン |
Research Abstract |
本研究では、時期特異的な遺伝子発現のメカニズムの解明を目的とした。遺伝子の転写を「組織・部位・細胞」特異的に正確に制御することは、現在のモデルでは、特定のタンパク(転写因子)が遺伝子近傍に存在する特異的な配列(シス配列)に結合することによって誘導される。しかし、発現が「時期」特異的に誘導されるメカニズムについては全く解明されていない。本研究では、C.elegans(線虫)線虫の初期胚の腸発生をモデルケースとして、このメカニズムの解明を試みた。 前年度での研究から、線虫の腸発生には時期特異的に働くシス配列を独自開発したプログラム(FESystem)により予測し、実験的に同定している。本年度は、それぞれを制御する転写因子に関して調べた。再度FESystemを使用して、Yeast-one-Hybrid data(from Dr.Walhout lab)を解析し、転写因子結合サイトを予測した。結果、DAF-12サイトがE8-stageのシス配列に類似していた。GFP reporter assayでは、DAF-12 null mutantでのGFP発現パターンは、WT内でのシス配列欠損するGFP発現と同じ発現パターンを示した。また、別時期の遺伝子発現には影響しないため、DAF-12は時期特異的な発現に関与している。in situ hybridizationにより内在性の遺伝子発現もこのDAF-12によって制御されていた。RNAi assayの結果では、DAF-12はELT-2と共同で、発現開始時期の制御に関与していることが分かった。 本研究から、時期と部位特異的な発現は別々の転写因子によって制御されていることが初めて示された。また、その2つの転写因子は何らかの関係を有するために、シス配列同士が比較的近傍(<200bp)に存在することが必須であることが分かった。本研究を通して、線虫の体内で、遺伝子を時期・部位特異的に発現させるために、プロモータ配列をデザインし、発現をコントロールすることができる可能性が出てきた。この結果は合成生物学としての一歩であると考えている。
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Research Products
(1 results)