2009 Fiscal Year Annual Research Report
半導体2次元電子ガスを用いた超伝導体/常伝導金属接合に対する光照射効果
Project/Area Number |
08J03728
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
津村 公平 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体二次元電子ガス / 超伝導近接効果 / 光物性 / InGaAs |
Research Abstract |
まず光照射によるIn_<0.7>Ga_<0.3>As量子井戸の電子密度の変化を測定した。波長1.55μmの光照射下でShubnikov-de Haas振動を測定し、電子密度を見積もった結果、光照射強度の増大とともに二次元電子ガス(2DEG)の電子密度が減少することが分かった。 この試料の微分抵抗-バイアス電圧(dV/dI-V)の特性をT=4.2Kで測定した。光照射下では2DEGの電子密度は減少するにも関わらず、試料抵抗は光照射前と比較し減少する。これは光照射によるS-Sm界面のポテンシャルバリアの高さの減少に伴う試料抵抗減少が、電子密度減少による抵抗増大を上回ったためだと考えられる。ノーマル抵抗で規格化したdV/dI-V特性から、光照射によって超伝導電極Nb超伝導の超伝導ギャップエネルギーの2倍(2Δ)以内で微分抵抗が減少していることがわかった。これは光照射によってS-Sm界面でのAndreev反射確率が増大したことを示している。Andreev反射確率の増大はS-Sm界面ポテンシャルバリア高さの減少によって説明され、我々の実験結果はこれに対応している。光照射によるポテンシャルバリア高さの減少を定量的に示すため、Bakkerが拡張したOctavio-Tinkham-Blonder-KlapwijkモデルでdV/dI-V特性の計算を行った。この結果、光照射前は界面ポテンシャルバリア高さは無次元パラメータZ=0.14を用いて特性を再現できる一方で、光照射後の特性はZ=0.08で再現できた。またこの試料に対してパルスレーザーを用いて円偏光照射を行い、直線偏光照射時との比較を行ったが、有為な差を見出すには未だ至っていない。この差を検出するためにはパルスレーザー励起と同期した超高速測定系の構築が必要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)