2008 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期における聖護院門跡の権力構造と地域社会・在地山伏
Project/Area Number |
08J03731
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
近藤 祐介 Gakushuin University, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本中世史 / 山伏 / 修験道 / 聖護院門跡 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の重要なテーマの一つである<頭山伏>概念の提示とその検討、聖護院門跡の門跡組織についての検討を中心に行った。 前者については、(1)歴史学研究会例会での口頭報告、(2)民衆史研究会大会シンポジウムにおいて研究発表を行った。(1)では修験道史研究における<頭山伏>概念の意義について言及したうえで、<頭山伏>が自力で在地の山伏集団を統括していたことを明らかにした。その上で、こうした<頭山伏>と聖護院門跡との関係を検討し、これまで聖護院門跡の活動を中心に論じられてきた本山派形成史研究を相対化した。(2)では<頭山伏>という言葉は使用しなかったが、今後の研究の前提となる15,6世紀の東国社会における山伏の位置づけについて検討を行った。そこでは東国における熊野先達(山伏)の実態検討と在地山伏集団(山伏結合)の歴史的推移と<頭山伏>の役割について論じた。この報告では先行研究で提示されてきた「里山伏」概念の再検討を促したほか、修験道研究を「地域社会論」との関連の中で論じる視角を提示した。この成果は『民衆史研究』77号に掲載予定である。 後者については、仏教史学会例会において口頭報告を行った。そこでは、聖護院門跡の歴代門主と門下である院家についての基礎的検討を行った上で、門跡組織の確立を15世紀前半の室町幕府の宗教政策と密接に関連したものであるという論点を提示した。また、報告とは別に15,6世紀における聖護院門跡の山伏編成のあり方とその変容について検討した論文に着手した。この論文はすでに投稿しており、現在は審査待ちの状況である。
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Research Products
(3 results)