2008 Fiscal Year Annual Research Report
水生植物が繁茂する閉鎖性水域における熱的擾乱に基づく成層密度流
Project/Area Number |
08J03774
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱上 邦彦 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水生植物 / 閉鎖性水域 / 熱対流 |
Research Abstract |
水質汚濁がしばしば問題となる閉鎖性水域の水質改善・保全を図るための手法として水生植物を用いた水質浄化法が提案されている.これに関し,効率的な水質浄化を行うための適切な繁茂量の定量化を目的として,水生植物の繁茂による水面被覆が水域内流動に及ぼす影響について検討を行った. 水理実験より,閉鎖性成層水域における水面被覆が熱対流の発達に及ぼす影響について検討を行った結果,受熱期においては不均一加熱により水温の成層度が水平方向に異なること,また,放熱期において不均一冷却により駆動された水平対流によって混合層の発達過程が大きく変化することを示した.このことについて,理論的考察を行った結果,混合層の水温低下速度ならびに混合層厚さの発達速度は被覆部および水面部に付加される熱フラックス量とその差異に起因する水平対流に強く依存することを示した. また,水生植物の熱輸送に関する遮蔽効果について,植物体の被覆による水中照度および水面熱フラックスの遮蔽率を求めた.水中照皮および水面熱フラックスは,水生植物の種類によって異なり,また,熱フラックスの遮蔽率は水生植物の密生度に依存し増加し,それにより混合層の発達速度が減少することを示した. そして流動-水質予測モデルにおける水面境界条件に,水生植物の種類および密生度をパラメータとして適用することで,水生植物の被覆か水温成層の形成および混合層の発達速度に及ぼす影響,およびそれに伴う水域内の水質変動に関して検討を行った.その結果,水域内の溶存酸素の挙動は水域内流動および水温分布に大きく依存し,また植物プランクトンによる溶存酸素の生産量は水生植物の密生度および被覆率の増加に伴って減少し,その減衰率に関しては水生植物による照度の減衰率が大きく寄与していることを示した.
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Research Products
(7 results)