2008 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼や海洋の底泥に生息するアナモックス微生物の生態学的意義と窒素動態への寄与
Project/Area Number |
08J03777
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天野 皓己 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アナモックス / 嫌気性アンモニア酸化 / 窒素循環 / 15N / 窒素安定同位体 / 環境微生物 / 微生物生態 / anammox |
Research Abstract |
近年、新たな窒素代謝であるアナモックス(嫌気性アンモニア酸化)反応が発見された。この代謝は廃水処理へ応用されるなど産業上重要であるのに加え、水圏の窒素動態にも関与していることが明らかとならてきている。 本研究では、湖沼や海洋の底泥に生息するアナモックス微生物の生理生態を明らかにすることを目的とする。 本年度研究課題は、1.「アナモックス測定法およびナナモックス細菌検出法の最適化」ならびに、2.「アナモッタス活性の分布を制御する環境要因の推定」に設定した。 その結果、当初の研究目標に貢献する以下の成果を得た。 (1)アナモックス代謝に関するこれまでの知見から、従来は亜硝酸イオンおよびケンモニウムイオンを用いて堆積物中のアナモックス潜在活性を測定していた。しかしながら、実環境中では無機態窒素酸化物として亜硝酸イオンよりも硝酸イオンの方が多く存在する。そこで、より現場を反映した活性測定を行うため、硝酸イオンおよびアンモニウムイオンでを用いた活性測定法を構築した。 (2)琵琶湖から淀川、そして大阪湾の堆積物表層を採取し、アナモックス活性測定を行うた。その結果、淡水域から汽水域、海域までアナモックス活性は広く分布していたが、その分布を単一の環境因子では説明できなかった。一方で、分子生物学的手法(16S rRNA遺伝子を対象としたPCR-クローンライブラリ成が大ー法)により推定されたアナモックス細菌群集は淡水・汽水・海域でその種構き<変化した。 塩分濃度によって生息するアナキックス細菌群集が異なる可能性が示唆されたことから、今後は、淡水域・汽水域・海域それぞれについて、アナモックス活性およびアナモックス細菌の制御因子を検討していく予定である。
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Research Products
(11 results)