2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機デバイス関連の「埋もれた界面」における電子構造の解明と大気効果の研究
Project/Area Number |
08J03787
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 裕介 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機半導体 / 紫外電子分光法(UPS):逆光電子分光法(IPES):光電子収量分光法(PYS) / 界面電子準位接続 |
Research Abstract |
清浄金属(Au.Cu.Mg.Ca.Sm)基板上に銅フタロシアニンを積層させた電子準位接続について、紫外光電子分光法(UPS)、逆光電子分光法を用いて調べた。金属の仕事関数が小さいMg.Ca.Sm基板上では同じ電子準位に最高占有軌道(HOMO)、最低非占有軌道(LUMO)が位世することがわかった。これは、金属の仕事関数を変化させるとホール注人障壁(φ_h:金属のフェルミ準位(E_F)からHOMO準位とのエネルギー差)及び電子注入障壁(φ_c:E_FからLUMO準位とのエネルギー差)は変化させられるが、あるしきい値を越えて小さくすることができないということが言える。また、界面で起こっている現象を詳細に調べたことで、その成因が分かってきている。これらについて、昨年度、国内外で発表し、現在、Oreanic Electronicsに論文を投稿中である。 また、実デバイスは大気下で動作さぜられるため、大気による電子準位接続への影響を調べるため、清浄金属基板を大気に曝し、有機薄膜を積層させた電子準位接続について、UPSで調べた。金属基板を大気に曝すことによって電子準位接続が大きく変わることがわかった。 更に、上記のUPSなどの手法は表面敏感、真空中でのみ測定可能、という制限があるため、これらの制限をクリアできる光電子収量分光法(PYS)を用い、「有機物に埋もれた界面」の電子構造を観測し、真空中、大気中で測定することにより、大気がどのように影響を調べた。清浄金属基板上にヘンタセンを績層させ、真空中と大気中で測定した結果、ヘンタセンのイオン化ポテンシャルには大きな変化が観測されなかったが、金属側が大気曝露によって変化することで、φ_hが0.16eV小さくなるということがわかった。
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