2008 Fiscal Year Annual Research Report
重力変化(GRACE)と変形(GPS)を併用した地球変動の研究
Project/Area Number |
08J03801
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 涼子 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GRACE / 衛星重力ミッション / 重力の時間変化 / 地球温暖化 / 海水量変化 / 水収支 / 土壌水分変化 / 気候変動 |
Research Abstract |
地球の重力場は、氷床の融解や地下水の移動など、流体を含む様々な自然現象を反映して常に変動している。特に最近では地球温暖化が問題になっているが、本研究では重力衛星GRACEのデータを用いて、重力変化にも地球温暖化の影響が表れつつあることを発見した。なお、本研究は研究委託として、平成19年9月29日から平成20年12月28日まで滞在した台湾国立中央大学で行ったものも含まれている。 1.地球温暖化に伴う海水量変化と全球的な水収支について すでに知られているように、アラスカやグリーンランドでは加速的に氷が融解している。海氷の融解は海水面変化に影響を与えないが、陸地の氷の融解は、海洋に流れ海水質量を増加させる。そこで本研究では2003年から現在までのGRACEのデータを用いて、海水質量変化を求めた。その結果、後氷期回復の影響・地球の重心の経年的な移動の補正を行うと、海域の水量は経年的に増加していることが示された。さらに、気象モデル・陸水モデルから大気・大陸中の水量変化を求め、地球全体の季節的・経年的水収支について議論した。 2.降水量パターン変化に伴う土壌水分変化 陸地において,GRACEが観測する重力変化は主に土壌水分変化を反映している。土壌水分は降水量といったフラックスの積分値であり、もし降水量に長期的なトレンドがあれば、土壌水分には二次成分として現れるはずである。そこで、本研究ではGRACEデータを季節変化と二次関数でモデル化し、重力の加速・減速的な変化について推定した。さらに比較を行うために、降水量データから経年的なトレンドを推定したところ、同じ地域で同様のパターンを示した。この研究は、降水量パターンの変化を重力データという気象とは異なるデータから検出した点が新しい。
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Research Products
(3 results)