2009 Fiscal Year Annual Research Report
重力変化(GRACE)と変形(GPS)を併用した地球変動の研究
Project/Area Number |
08J03801
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 涼子 Hokkaido University, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GRACE / 衛星重力ミッション / 重力の時間変化 / 地球温暖化 / 水収支 / 気候変動 / 永久凍土 / 貯水量変化 |
Research Abstract |
2002年に打ち上げられたGRACE重力衛星によって、様々な地域や時間スケールの重力変化が捉えられている。本研究では重力の時間変化という切り口による新たな地球物理学的現象の解明を目指し、研究を進めた。 1.二次の成分を持った重力の経年変化 陸地において、GRACEが観測する重力変化は主に貯水量を反映している。貯水量は降水量等のフラックスの積分値であり、もし長期的な一次変化成分があれば、GRACEの重力変化には二次の変化成分が現れるはずである。本研究では、GRACEによる重力の時間変化時系列を季節変化と二次関数でモデル化し、重力変化の加速・減速についてその大きさや地理的分布を議論した。さらに陸水モデルや降水量データからも同様の二次的な変化分を比較した結果、GRACEで得られた加速・減速の変化は、降水量の直線的な時間変化を反映している可能性が高いことを示した。 2.シベリア永久凍土帯における重力の季節的・経年的な変化 地球温暖化に伴って、様々な地域の陸氷は融解し海面上昇に影響を与えている。GRACEデータによる経年的な重力変化を見てみると、永久凍土で覆われている東シベリアでは、年間約30.7Gtという顕著な貯水量の増加が見られる。これはパタゴニアの氷河の融解量に匹敵し、海面上昇を和らげる作用を持つ。永久凍土域では凍土の不透水性のため冬の地下水の涵養がなく、また余剰水が氷として冬越しできるため、その陸水変動は、温帯とは異なる季節変化を示し、さらに貯水量の経年変化は大きい。本研究ではGRACEデータと降水量や河川流量データといった地上観測データを比較することで、永久凍土における季節的および経年的な水収支を議論した。その結果、降水量の増加が貯水量増加の直接的原因であるが、許容貯水量自体が増大している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)