2008 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済化に伴う貴重財の変遷-トルコ絨緞生産地域の「嫁入り道具」を事例として
Project/Area Number |
08J03815
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 うらら Kyoto University, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 市場経済化 / 貴重財 / 持参財 / 絨緞 / グローバル / ローカル / 経済人類学 / トルコ共和国 / モノ研究 |
Research Abstract |
本研究は、市場経済への参入/市場経済の浸透に対して、人々がモノのローカルな価値を、いかにグローバルな市場経済システム、トルコ絨緞生産地域の事例をもとに検討するものである。報告者の平成20年度における研究の主目的と実施計画は、贈与交換理論および親族・婚姻論を中心とした理論研究を深めることと並行して、本研究が直接依拠しでいる、平成17-18年度に行なった長期現地調査で収集した大量のフィールドデータ(録音・録画・写真等を含む)を、分析可能な形に整理・データベース化することであった。またさらに、それらを適宜人類学理論と連結させながら学会・論文等にて発表することを目指した。本年度の主たる具体的成果は、フィールドデータの整理と分析を地道に進めることにより、調査対象地域における、市場経済化の過程と絨緞生産形式、婚姻慣習の村落間変異を具体的に示し、それらの相関性を明らかにしたことである。これは、ごく限られた地域内で類似性の非常に高かったと思われる複数の集団の、市場経済への包摂過程における微細な差異を条件として多様に変容する過程を説明するもめであり、「伝統の創出」か「伝統の消失」かに二極化する、昨今のグローバリゼーション論に新たな視点を提供するという意義がある。これらの論点については、国内外の学会で発表を行ない、国際学会誌に英語論文を投稿した、さらに、フィールドにおける映像を、ものづくりをめぐっで展開する社会関係を表現する民族誌映画にまとめ、学会や一般向け企画展示などで広く発表・公開した。また、市場交換と共同性という点で本研究に密接に関わるトルコ共和国の定期市における経済関係についての論文を、日本文化人類学会の学会誌に投稿し、掲載許可を得た
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Research Products
(3 results)