2008 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒を用いた多置換トリアゾールの新規合成法の開発
Project/Area Number |
08J03818
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 真之 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パラジウム触媒 / 結合切断 / プレニル化 |
Research Abstract |
以前当研究室では、パラジウム触媒によるホモアリルアルコールのレトロアリル化を利用したハロゲン化アリールのアリル化反応を報告した。今回私は、この反応を利用することで、従来法では合成が困難とされている多置換アルケンを位置および立体特異的に合成できることを見いだした。パラジウム触媒と炭酸セシウム存在下、o-クロロトルエンと第三級ホモアリルアルコールの混合物をトルエン溶媒中加熱還流した。常法通りの後処理と精製を行うと、プレニル化された生成物が収率よく得られた。第三級ホモアリルアルコールより生じたパラジウムアルコキシドのレトロアリル化がおこり、アリールプレニルパラジウムが生じる。ここから還元的脱離が速やかに進行し、生成物を与えると考えている。本反応では、他の位置異性体は全く生じない。よって、本反応は、ハロゲン化アリールを選択的にプレニル化することができ、有機合成上有用である。 また、私は、この反応を利用することで、従来法では合成が容易ではないメチレンシクロブタンを簡便に合成できることを見いだした。パラジウム触媒と塩基存在下、2-ブロモナフタレンとアリル位をトリメチレン基で置換した第三級ホモアリルアルコールの混合物をトルエン溶媒中加熱還流すると、対応するメチレンシクロブタンが収率よく得られた。アリル位をトリメチレン基で置換した第三級ホモアリルアルコールより生じたパラジウムアルコキシドのレトロアリル化がおこり、アリール(2-シクロブチリデンプロピル)パラジウムが生じる。ここから還元的脱離が速やかに進行し、生成物を与えたと考えている。
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