2008 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞と非造血系細胞の相互作用による自己免疫疾患の発症機構の解明
Project/Area Number |
08J03819
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北林 知佳 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己免疫疾患 / インターロイキン-6(IL-6) / Th17 / 実験的脳脊髄炎(EAE) / 非造血系細胞 |
Research Abstract |
我々の研究室では、インターロイキン-6(IL-6)ファミリーサイトカインの細胞内シグナル伝達分子であるgp130の759番目のチロシンをフェニルアラニンに置換することで、STAT3のリン酸化が亢進したノックインマウスgp130 F759/F759マウス(F759)を確立し、このマウスは自己免疫性の関節炎を自然発症することを報告した。さらに、このF759の関節炎に非造血系細胞へのIL-6シグナル異常が必要であること、IL-17を産生するヘルパーT細胞のサブセットであるTh17が関与することがこれまでに明らかになっている。今回、F759マウスの解析で得られた『免疫系細胞と非造血系細胞の相互作用により自己免疫疾患が発症する』という仮説が、IL-6依存的なより一般的な自己免疫疾患のモデルにも当てはまるかどうかを検討した。自己免疫疾患のモデルとして、多発性硬化症のマウスモデルである実験的脳脊髄炎(EAE)を用いた。このEAEもIL-6とIL-17に依存する自己免疫疾患であることがすでに報告されている。このモデルでeffector phaseにおけるIL-6シグナル影響を検討するため、EAEを発症しているマウスのT細胞を移入し、レシピエントマウスにEAEを誘導する系を確立した。Cre-Loxpシステムを用いて、Type I collagenを発現する細胞(線維芽細胞等の非造血系細胞)特異的にSTAT3を欠損するマウス(非造血系細胞にIL-6シグナルが入らないマウス)を作製し、そのマウスをレシピエントにT細胞移入によるEAEの誘導を試みた。その結果、非造血系細胞でSTAT3を欠損するマウスにおいてEAEが抑制されることが明らかになった。このことから、非造血系細胞へのIL-6シグナルがF759関節炎以外の自己免疫疾患にも関与することが示された。また、線維芽細胞はIL-17刺激によってIL-6を産生することから、IL-17がIL-6のポジティブフィードバックを起こし、これが自己免疫疾患発症の引き金をなることが示唆された。
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Research Products
(4 results)