2009 Fiscal Year Annual Research Report
嗅皮質ニューロンにおける対象物の匂いの表現様式の時間的空間的解析
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08J03835
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠本 郁恵 (吉田 郁恵) The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅皮質 / ラット / local field potential / 細胞外記録 / 自由行動下 / 摂食行動 / 同期発火 |
Research Abstract |
私は、嗅皮質における対象物の匂いの表現様式の解明に迫るため、2009年度は、覚醒状態のラットの嗅皮質ニューロンの活動に注目した実験を行った。この実験により、昨年度までに行った麻酔下ラットの実験では調べられなかった、実験者が刺激に用いている食べ物の匂いに応答するニューロンが、実際に動物が覚醒時にその匂いの情報をもとに、食べられるかどうかを判断したり、食べ物であるかどうかを識別したりすることに関わっているかどうか、についても研究を展開できつつある。 2009年度に着目した点は、1.ラット嗅皮質で、摂食行動時に活動するニューロンの存在の有無、2.嗅皮質ニューロンの同期活動を指標とした、食べ物の匂い表現に関与するニューロン群の同定である。 動物の生存のためには安全な摂食行動が必要不可欠であり、その行動には、匂い情報が重要な役割を果たすことはよく知られているが、嗅皮質のニューロンが、一連の摂食行動に対して、どのような役割を担っているのかについては調べられていなかった。そこで、当研究室で確立された覚醒ラットでの神経活動記録法を用い、ラットの摂食行動時の嗅皮質ニューロンの活動を観察したところ、嗅皮質にある一部のニューロンで、ラットが食べ物の匂いを嗅ぐとき、及び、食べ物を口に入れたときに発火の増加が観察された。この結果は、嗅皮質ニューロンの活動と動物の摂食行動との関運を示唆するものである。 また私は、嗅皮質ニューロンの同期発火に注目し、摂食行動に実際に関与するニューロンを同定する試みも行った。そして、嗅皮質では、睡眠時に特徴的なlocal field potentialが観察され、それと同時に複数のニューロンの同期発火も観察されることを発見した。このときに同時に発火するニューロン群に共通点があるのではないかと推測し、現在も実験を続けている。
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Research Products
(1 results)