2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合系での軌道、スピン、電荷の競合が起こす電子相関現象の研究
Project/Area Number |
08J03880
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阪野 塁 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子ドット / 近藤効果 / 超伝導 / 熱起電力 / 干渉効果 / ショットノイズ |
Research Abstract |
量子ドット複合系での、電子相関現象と輸送現象についての、普遍的な性質を解析的手法により理論的に明らかにした。さらに実験グループと協力し研究を行って来た。具体的に、次の3つの課題について研究を行った。 (1超伝導電極、常伝導電極、量子ドット複合系の電子相関と輸送の解析 超伝導状態と不純物状態の競合現象の観測が実験解析された。この実験研究の理論的なサポートを行い、電子相関相の遷移現象を明らかにした。 (2)T字型量子ドット系の熱起電力の解析 T字型量子ドットのように干渉効果が強く働きコンダクタンスが抑制される系では、熱起電力の取り扱いにおいてはモット関係式を超えた取り扱いが必要である。(3)の研究に関連しながら、この系の輸送について、繰り込まれた摂動論による定式化を進めた。また、量子ドットの熱起電力の実験研究を行っているドイツのグループと、実験、理論の結果について議論を進めた。 (3)量子ドット系の近藤効果によるショットノイズの解析 軌道近藤効果によるショットノイズを、特に粒子-正孔対称性がある場合に着目し、低バイアス領域で有効な繰り込まれた摂動論を利用し解析を行った。ここで、ショットノイズは、カレントノイズの絶対零度の値だけではなく、拡張された久保公式により解析することで、有限温度で実験との比較可能な解析を目指した。この解析により、ショットノイズを導出し,系に普遍的なパラメータで、バイアス依存性を表現した。これにより、クーロン斥力の小さい非相互作用極限から、クーロン斥力の大きい近藤極限までの任意のクローン斥力に対するファノ因子の、ウィルソン比による表現を得た。これにより、粒子-正孔対称な軌道近藤効果によるファノ因子の系に普遍的な特性が明らかになった。
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Research Products
(4 results)