2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規に発見した聴覚皮質腹尾側領野の機能に関する研究
Project/Area Number |
08J03900
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西村 方孝 Kumamoto University, 医学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光計測 / 聴覚皮質腹尾側領野 / フーリエ変換 / コア領域 / ベルト領域 / モルモット / 一次聴覚野 |
Research Abstract |
音に含まれる情報の変化によって現れる皮質活動の変化を明らかにするためには、必要に応じて任意の波形を合成し、高い精度でその波形を実際の音に変換する必要がある。そこで、汎用計算機で合成した任意波形を外部トリガに応じて音響システムで再生するためのソフトウェアを作成した。更にそのソフトウェアから減衰器を制御することにより、任意の音圧で任意の波形を提示する音刺激システムを構築した。 複雑音に含まれている全ての情報を変化させてしまうと、その次元の多さ故に皮質の活動を定量的に評価することが難しくなる。そこで、特定の繰り返し周波数で音情報のパラメータが初期状態に戻る音刺激を用いて皮質の活動を定量的に評価する方法を確立した。具体的には、極めて簡単な例として、50ms持続する音をある繰り返し周波数で提示し続け、その繰り返し音に対する皮質の活動をフーリエ変換によって周波数、振幅、位相情報に分解する。周波数分解することによって、in vivoの光計測で大きな影響を与える動物の心拍や呼吸に起因するノイズを劇的に低減することが可能になった。 以上のシステム・ソフトウェアを用いて、モルモット聴覚皮質の活動の光計測を行い、聴覚皮質各領域における活動潜時を調べたところ、コア領域として知られている一次聴覚野(AI)においては、音の周波数が高くなるにつれて単調に活動潜時が短くなることを確認したが、同じくコア領域として知られている背尾側領域(DC)においては、特定の周波数において単調な減少を示さないことが明らかになった。また、4kHz以上の高い音に対しては、AIがDCより有意に約2ms早く活動していることが明らかになった。純音で同定可能なベルト領域(コア領域周辺の領域、新規に発見した聴覚皮質腹尾側領野も含む)の各領野においても同様に活動潜時を調べたが、音の周波数と活動潜時の明らかな関係は見られなかった。
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Research Products
(1 results)