2008 Fiscal Year Annual Research Report
Synaptic Strippingによる神経伝達の機能変化とミクログリアの役割
Project/Area Number |
08J03902
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 純 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミクログリア / 軸索切断 / synaptic stripping / 舌下神経 |
Research Abstract |
ミクログリアは運動神経軸索切断後、細胞体周囲に遊走し接着する。その際に細胞体に結合しているシナプスを引きはがし(synaptic stripping)、細胞体の保護や神経の生存に関与すると考えられてきた。しかし細胞体周囲のシナプス・グリア環境を形態的な観点から定量的に評価した報告はなかった。本年度はミクログリア、プレシナプス、アストロサイト、細胞体の四重染色を行い、軸索切断に伴い細胞体周囲のシナプス・グリア環境がどのように変容しているかを解析し、グリア細胞がシナプス環境に及ぼす影響を形態的視点から解析した。 通常、細胞体周囲はアストロサイトの微細な突起またはプレシナプスが密に取り囲んでいる。軸索切断後、ミクログリアは細胞体に接着しているように見えるものの、実際にはアストロサイトの微細な突起がミクログリアの突起を包囲しており、依然として周囲環境の90%以上はアストロサイトが取り囲んでいた。またアストロサイトはプレシナプスと細胞体の間にも微細な突起を伸ばし積極的に細胞体やシナプス部を包囲していることがわかった。ミクログリアは一部の突起が細胞体やシナプスに近接するものの、積極的にSynaptic strippingを行っているような形態はほとんど確認できなかった。 さらにグリア細胞に細胞内染色を行い、軸索切断に伴う形態変化からシナプスとの関係を考察した。コントロール条件下ではミクログリアは細い突起を持っているが、軸索切断により突起および細胞体は肥大化した。したがってミクログリアは軸索切断に伴い貪食などの機能を担うような形態へと変化すると考えられる。一方でアストロサイトは容積が増大し、依然として細い突起を維持していた。したがってアストロサイトはシナプス機能の維持という基本的な役割を保っている可能性が高いことがわかった。グリア細胞の形態変化によりシナプスとの相互関係が大きく変容することがわかった。
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Research Products
(2 results)