2009 Fiscal Year Annual Research Report
Synaptic Strippingによる神経伝達の機能変化とミクログリアの役割
Project/Area Number |
08J03902
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 純 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミクログリア / アストロサイト / 軸索切断 / 舌下神経 |
Research Abstract |
舌下神経など運動神経軸索切断後の神経生存は、ラットとマウスで異なった挙動を示す。ラットにおいては神経が生存するが、マウスにおいては神経が脱落する。そこで生存に影響を与える因子として、シナプス周囲環境の違いを解析した。具体的には電気生理による機能的変化の解析と、ミクログリア・アストロサイト・プレシナプス・細胞体の四重染色を行いシナプス周囲グリア環境の経時的な変化を解析した。 舌下神経切断後、patch-clamp法により自発性後シナプス電流を記録すると、ラットにおいては自発性後シナプス電流が完全に消失していた。一方でマウスにおいても自発性後シナプス電流は低下するもののラットに比べて多数の自発性後シナプス電流が確認された。 続いて免疫染色とその定量化によって、シナプス伝達の低下を来たす原因となるシナプス周囲環境の変化を解析した。通常、細胞体周囲およびシナプス周囲はアストロサイトの微細な突起によって包囲されている。ところが軸索切断後のラットにおいては、アストロサイトの突起がシナプス終末と細胞体との間に入り込んでいるタイプのシナプスが約20%確認された。同様にミクログリアによる細胞体の包囲やシナプス部への近接は正常側と比較して有意な増加を示したが、5%以下と非常に少ない割合に過ぎなかった。一方でマウスにおいては、アストロサイトによるシナプス間隙への突起伸長はラットに比べて有意に低い約10%にとどまった。一方でミクログリアとシナプスとの接触はラットに比べて有意に高く、約10%確認された。このようなラットとマウスでの異なったシナプス周囲グリア環境が神経の生存の差異に影響を与えている可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)