2008 Fiscal Year Annual Research Report
内部共生細菌ボルバキアが宿主昆虫キチョウの生殖システムや進化プロセスに与える影響
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08J03931
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
成田 聡子 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | Wolbachia / Eurema hecabe / 内部共生細菌 |
Research Abstract |
ボルバキアに2重感染されたキチョウでは遺伝的オスのメス化が起こるが、2系統の細胞内共生細菌ボルバキア(wCIとwFem)が分離されていないため、wFemのみがメス化を起こすのか、wCIとwFemの2重感染状態で初めてメス化が起こるのかは不明である。 現在までの研究から、2重感染キチョウの次世代において、wFemが伝わらなかった個体も完全にメス化されており、さらに、完全なメス化のためには全幼虫段階でボルバキアが存在し続けなければならないことがわかっている。 【結果・考察】ボルバキアの移植実験から推測するメス化機構 カイコ培養細胞で維持しているメス化作用を持つウォルバキアを様々な生育段階の非感染キチョウに接種したところ、9割以上という高い頻度で感染成虫が得られた。ところがそれらの個体の性比はほぼ1:1であり、オス・メスの形質を併せ持つような個体(間性個体)も見られなかった。メス化されたキチョウから幼虫期にウォルバキアを除去すると、成虫時にオスの形質が顕著に現われることがわかっている。これらの結果を考え合わせると、完全なメス化のためには幼虫期以降にもウォルバキアの存在が必要ではあるが、発生学的に非常に初期の段階にウォルバキアが存在しなければメス化は全く起こらないことを示しているのかもしれない。つまり、胚期における効果あるいは母性効果の可能性が考えられる。十分な密度にまでウォルバキアがキチョウ体内で増殖したかどうかを、今後定量PCRなどを用いて調べる必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2008
Author(s)
Narita S, Kageyama D
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Journal Title
In Insect Symbiosis 3 Wolbachia-induced sex reversal in Lepidoptera(CRC Press, Boca Raton, FL, USA)
Pages: 295-319
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