2010 Fiscal Year Annual Research Report
内部共生細菌ボルバキアが宿主昆虫キチョウの生殖システムや進化プロセスに与える影響
Project/Area Number |
08J03931
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
成田 聡子 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | Wolbachia / Eurema mandarina / 内部共生細菌 |
Research Abstract |
本研究で扱う内部共生細菌Wolbachia(ボルバキア)は節足動物の30~70%もの種に共生しているといわれており、さらにボルバキアが引き起こす生殖操作は非常に多様であり、細胞質不和合、オス殺し、遺伝的オスのメス化、単為生殖などが含まれる。それらの多様な生殖操作を一種の細菌が引き起こしているという事実は、大変驚くべきことであり、世界の様々な研究グループがこれらの現象解明のために活発に研究を行っているものの、その具体的な機構については未だ何も分かっていないに等しい。そのボルバキアによるメス化が宿主個体群を絶滅へ導いていく可能性についての検証。種子島キチョウの野外性比・交尾率の年次変動を年に3回ほど調査し、採集してきた個体の遺伝的多様性をアロザイム多型解析やマイクロサテライト解析などから推定。比較対象として野外性比が正常であるキチョウ個体群(本州4地点ほどを予定)においても同様の調査と実験を行い、野外の性比異常と個体群の絶滅との関連を明らかにしていくことを目的として実験をおこなった。これまで、種子島、沖縄本島、石垣島などボルバキアによる性転換個体が発見されている島々で野外性比やアロザイム解析をおこなったところ、性転換個体の頻度が多い種子島でのみ野外性比が著しくメスに偏り、アロザイム多型においても有意に多様性が低くなっていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)