2009 Fiscal Year Annual Research Report
内部共生細菌ボルバキアが宿主昆虫キチョウの生殖システムや進化プロセスに与える影響
Project/Area Number |
08J03931
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
成田 聡子 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Wolbachia / Eurema mandarina / 内部共生細菌 |
Research Abstract |
(研究テーマ)共生細菌Wolbachiaによって引き起こされるキチョウの性転換:doublesex遺伝子の発現解析によって見えてきたこと 種子島や沖縄島に生息するキチョウに感染している内部共生細菌Wolbachiaは、キチョウを雄から雌に性転換させている。昆虫の性決定カスケードの最下流に位置する遺伝子doublesex(dsx)は、多くの昆虫種において、雌雄で異なったスプライシングパターンを示すことがわかっている。 本年度、カイコやショウジョウバエの配列からプライマーを設計し、キチョウにおけるdsx遺伝子配列を決定した。さらに、キチョウのdsx遺伝子をRTPCRによって増幅することにより、通常キチョウでは雌雄で異なるスプライシングパターンを示すことがわかった。遺伝的には雄であるメス化個体のdsx遺伝子を調査した結果、完全に雌型のスプライシングであった。メス化キチョウでは、幼虫期に抗生物質を投与すると雌雄の形質を合わせ持った問性個体となる。さらに、抗生物質の投与期間に応じて雌雄形質の出現度合いを調節できることがわかっている。これらの間性個体においてもdsx遺伝子のスプライシングパターンを調査した結果、雌形態に近いものほど雌型の、雄形態に近いものほど雄型のスプライシングパターンが表れる傾向がみられた。これらは、細菌が高等生物の性決定を分子レベルで操作していることを示す初めての発見である。
|
Research Products
(8 results)