2008 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的衝撃波における粒子加速の定式化と個別の天体現象への応用に関する理論的研究
Project/Area Number |
08J03945
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青井 順一 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガンマ線バースト / 衝撃波加速 / 高エネルギー天文学 |
Research Abstract |
ガンマ線バースト(GRB)は宇宙で最も明るい爆発現象であり、その発生機構は良く分かっていない。現在の標準的な理論モデルでは内部衝撃波モデルが最も有力なモデルであり、ある程度観測結果を説明する事に成功している。このモデルでは、ブラックホールのような高密度天体から放出されるプラズマ流の中に衝撃波が生じ、衝撃波中に生じた高エネルギー粒子からの放射をGRBとして観測していると考えている。このプラズマ流は観測により光速に近い速度を持つと推測されており、昨年打ち上げられた観測衛星Fermiの観測からプラズマ流の速度を精密に求める事が重要なテーマとなっている。また、衝撃波中で高エネルギー粒子が生ずる機構として衝撃波加速理論が有力な理論であるが、光速に近い速度を持つ衝撃波に対してこめ理論が適応出来るかは現在議論されているところである。我々はFermiによる高エネルギー光子の観測からプラズマ流の速度を求める研究を行った。これまでの研究においては狭い放射領域からの放射のみを考慮して理論を構成していたのであるが、実際の観測を説明するためには広い放射領域からの放射を考慮する事が必要である。そこで我々は現在の標準モデルである内部衝撃波理論を用いて観測される高エネルギー光子の量を計算した。今回の研究では観測される光子のエネルギースペクトルの傾きがあるエネルギーを境に急になる事が示された。また、傾きが変わるエネルギーからプラズマ流の速度を評価する事が出来る事を示し、今まで考えられていたプラズマ流の速度の下限値がより小さい値になる可能性がある事を示した。この研究はGRBの物理を知るために重要であり、観測から衝撃波加速の妥当性を知るためにも重要な研究である。
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Research Products
(2 results)