2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞と対話し病変細胞を識別できる革新的な遺伝子キャリヤー
Project/Area Number |
08J03962
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
戸井田 力 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロテインキナーゼ / 遺伝子発現制御 / 遺伝子デリバリー / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
1.D-RECSポリマー/DNA複合体の細胞内動態観察 一般的な遺伝子キャリヤーであるポリエチレンイミン(PEI)とD-RECSポリマーを比較し、どの過程で劣っているのかを蛍光顕微鏡観察から解析したところ、D-RECSポリマー複合体はPEI複合体と比較してエンドソームの蓄積量が多く、また、フローサイトメトリーの結果より細胞内導入過程においても劣っていることが明らかとなった。今後の分子設計に有益な情報を得た。 2.組織選択性の向上のためのリガンド分子のD-RECSポリマーへの修飾 複合体の組織選択性を付与するため、インテグリンのリガンドであるRGDペプチドの修飾を試みた。アクリルアミド、基質ペプチド、RGDペプチドの三元共重合体を合成した。培養細胞でこのポリマーを評価したところ、インテグリン発現細胞の選択性を得た。これは(1)リガンド分子修飾の有無に関わらず、我々のシステムが機能すること(2)リガンド修飾により組織選択性を付与できる可能性を示唆する結果であり、基本的な分子設計戦略をおよそ確立できた。 3.D-RECSポリマー/DNA複合体のリポソームへの内封 北大薬学研究院の原島教授グループとの共同研究により、複合体のリポソームへの内封に成功した。このリポソーム(MEND)は内側より複合体、アニオン性脂質膜、オクタアルギニンの三相から構成されている。MENDをB16細胞に投与し遺伝子発現量を定量したところ、遺伝子導入試薬(LipofectAMINE)と同等、従来型のおよそ1,000倍の遺伝子発現が確認された。今後は、シグナル応答性の維持を目的とした、アニオン性脂質の中性脂質への変更を行う。 4.ペプチドおよび機能性分子の修飾率の制御のための新規ポリマー合成法 アルキン-アジドのクリックケミストリーによるペプチドおよび機能性分子の修飾率の制御を試みた。アルキン化したポリマーにおよそ任意の値でペプチドが修飾できることを確認した。この新規合成は今後の機能性分子の修飾への応用に有効である。
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Research Products
(9 results)