2009 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質における情報統合の研究:アデノウィルスを用いた形態学的解析とモデル化
Project/Area Number |
08J03974
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 康裕 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 皮質視床投射神経細胞 / アデノウィルスベクター / 樹状突起膜移行性GFP / 興奮性細胞 |
Research Abstract |
昨年度に確立した皮質視床投射神経細胞の逆行性標識を用いて、大脳反質各層から皮質投射神経細胞へのシナプス候補ブトンを3次元的にプロットした。さらに、シナプス候補ブトンの分布をコンピュータープログラムを用いて解析した。着眼したのは、軸索を出す細胞体からの距離である。細胞体からの距離に対してシナプス候補ブトン数の相対頻度をプロットしたところ、興奮性細胞の細胞体の位置によりその分布は大きく異なっていた。特に、6層の視床投射神経細胞と4層の興奮性細胞は狭い範囲にブトンを持ち、6層の非視床投射神経細胞は広い範囲にブトンを持っていた。これらの分布に、さらにブトン数、および神経細胞の数を加味して、特定の視床投射神経細胞群に、どれほど離れた各層の神経細胞からどの程度入力があるかを推定したところ、6層の視床投射神経細胞からは半径200μmの円柱内から強い入力があることが分かり、逆に6層の非視床投射神経細胞からは半径200μmの円柱より外から強い入力があることが分かった。また、狭い範囲(半径約30μmの円柱内)の入力を考えると、4層から6層への入力が際立つことが分かった。次に、特定数の神経細胞が活動した場合にどのような範囲からどれほどの入力があるかを推定するため、入力密度に神経細胞の分布密度を加味した推定を行うと、受け手側の6層視床投射神経細胞から水平距離で40μm以内の4層からの入力が最も強いことが分かった。4層からの強い入力の構成をさらに詳細に検討し、シミュレーションした結果、6層視床投射神経細胞の基底樹状突起に入力するシナプス候補ブトンが重要な役割をしていることが推定された。興奮性細胞について大脳皮質の広がりの、ある範囲に限って特異的な結合を報告は少なく、大脳皮質の基本的構成を考える上で重要な結果である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Prostaglandin E receptor EP1 enhances GABA-mediated inhibition of dopaminergic neurons in the substantia nigra pars compacta and regulates dopamine level in the dorsal striatum2009
Author(s)
Tanaka Y, Furuyashiki T, Momiyama T, Namba H, Mizoguchi A, Mitsumori T, Kayahara T, Shichi H, Kimura K, Matsuoka T, Nawa H, Narumiya S.
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Journal Title
European Journal of Neuroscience 30
Pages: 2338-2346
Peer Reviewed
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