2009 Fiscal Year Annual Research Report
突厥碑文読解によるモンゴル・中国華北地域における古代トルコ系遊牧民の歴史学的研究
Project/Area Number |
08J03982
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 宏節 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中央ユーラシア / 内陸アジア史 / モンゴル / 古代トルコ / 游牧民 / 突厥碑文 / 中国 / シルクロード |
Research Abstract |
本研究の目的は、騎馬遊牧民として最古の史料を残した突厥可汗国(紀元後六世紀中葉から八世紀中葉)について歴史学的側面から研究を進展させることである。そのため、モンゴル高原に現存する第一次史料「突厥碑文」を文献的に読解するとともに、碑文が所在する周辺地域や考古遺跡の調査を継続している。 本年度は、モンゴル国で在外研究を開始し、諸研究機関で情報収集するとともに歴史の舞台となった地域での生活を実体験している。特に現地遺跡の知見を広げるため、2009年8月に約二週間の地方調査を行った。関連遺跡が多く分布するモンゴル西北方面を踏査し、前年度同様、これまで実態が不明瞭であった遺跡についてGPSその他の計測器機による客観的な測定を行い、現存状況を確認しつつ資史料を収集しだ、2010年2月末から3月半ばにかけては、ロシア・サンクトペテルブルク・科学アカデミー東洋写本研究所の所蔵資料を調査した。当研究所には現在通用している突厥碑文テキストの根本となっている言語学者ラドロフが収集した拓本が所蔵されている。今年度は特にトニュクク碑文の諸拓本を校勘することで最良のテキストを作成する準備作業を終えた。 研究業績としては、先ず、2006年度から08年度までの三カ年の現地調査報告を共著として刊行した。本書には突厥時代のみならず前後する諸時代の遺跡についても情報を盛り込むことができ、当該分野の研究に寄与するものと思われる。次に、ウイグル時代の突厥碑文であるシネウス碑文の訳注を共同で発表した、古代トルコ語・突厥文字碑文テキストの網羅が要求される訳注作業を今後も作成してゆく上での基礎的作業と位置付けられる。そこには英語訳を付したが、海外への情報発信という意味で、突厥碑文の訳注を英語で披露する論考も一篇刊行することができた。チョイル碑文の新たな訳注であり、昨年度の成果を還元したのである。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Revision and Reinterpretation of the Choir Inscription.2009
Author(s)
Kosetsu Suzuki
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Journal Title
Currenl Archaeological Research in Mongolia : Papers from the First International Conference on "Archaeological Research in Mongolia" held in Ulaanbaatar, August 19th-23th. 2007.(Bonn contributions to Asian Archaeology Volume 4). Edited by Jan Bemmann, Hermann Parzinger, Ernst Pohl, Damdinsuren Tseveendorzh, Bonn : Vor-und Fruhgeschichtliche Archaologie Rheinische Friedrich-Wilhelms-Universitat Bonn
Pages: 419-427
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