2009 Fiscal Year Annual Research Report
仏教論理学派における自己認識論の構造解明――認識と認識対象との同一性について――
Project/Area Number |
08J03983
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三代 舞 Waseda University, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 仏教論理学派 / ダルマキールティ / Pramanavarttika / Pramanaviniscaya / pramana |
Research Abstract |
本研究における主な目的は、外的な対象を認めない唯識的傾向をもつ仏教論理学派において認識のあり方がどのように理解されるのかという問題を、認識根拠・認識結果・認識対象という三つの要素の関係性から解明しようという点にある。昨年度は,仏教論理学派の大成者であるダルマキールティが認識根拠としての形相をどのように捉えたのかという問題を取り上げたが、今年度はさらに認識結果としての自己認識についても合わせて、テキストの解読および考察を行った。 そのための具体的な方法としてまず初めに、対象形相の問題について、仏教論理学派の祖であるディグナーガからダルマキールティに至る過程で他学派の思想家たちとの間にどのような論争が行われたのかを明らかにした(雑誌論文参照)。その後に認識結果および認識対象の問題について着手し、現在に至るまで、ダルマキールティの主要な著作の一つである『知識論決択』およびそれに対するダルモーッタラの註釈『知識論決択注』の解読を中心に研究を進めている。ダルモーッタラ注については、近年特に写本を用いたサンスクリットテキストの校訂および解読が国際的な分担作業により急ピッチで進められているが、その状況についても、学会等においても情報交換を行った。 今後は、引き続きダルモーッタラ注の解読を中心に行いながら認識対象のあり方についても考察を行い、最終的に認識根拠・認識結果・認識対象という三者について包括的に扱う予定である。さらに、当該箇所の解読を行うための補助作業として、推論における妥当な論証因の自性因・結果因への還元に関する箇所の注について、サンスクリットテキストの校訂作業を行う。
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Research Products
(1 results)