2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温プラズマ中の乱流異常輸送と帯状流の非線形相互作用及び構造形成過程に関する研究
Project/Area Number |
08J04017
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
仲田 資季 The Graduate University for Advanced Studies, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合プラズマ / 電子温度勾配乱流 / ジャイロ運動論 / Vlasovシミュレーション / 乱流輸送 / ゾーナルフロー |
Research Abstract |
磁場閉じ込め核融合プラズマにおける電子の異常熱輸送の理解に重要と考えられる電子温度勾配(ETG)乱流について,ジャイロ運動論的シミュレーションと理論解析に基づいた研究を進めてきた.以下に,平成20年度に行った2次元スラブ配位に対する高解像度シミュレーションから得られた成果をまとめる. (1)スラブETG乱流においては,同じパラメータにおけるスラブイオン温度勾配(ITG)乱流と比べてゾーナルフローの形成が著しく弱いが,長波長モードの成長を抑制することが分かった.従って,定常状態では比較的短い波長を持つ孤立渦が多数形成されることが確認された. (2)より強い線形不安定性を持つパラメータにおいては,ゾーナルフローの緩やかな成長に伴って,乱流渦構造からコヒーレントな渦列構造へと遷移することが新たに確認された.このコヒーレント状態における乱流輸送レベルは,相対的に線形不安定性が弱い(1)の定常状態における輸送レベルを下回るという結果が得られた. (3)コヒーレント状態における輸送低減は,ポテンシャル揺動と温度揺動の振幅の減少よりも位相差の減少に主に起因していることを明らかにした.また,この位相差の低減と分布関数構造の変化には対応関係があることを示した. (4)コヒーレント状態における渦列構造を記述する流体モデル(電子温度勾配を含むHasegawa-Mima方程式)をジャイロ運動論的方程式から考察し,その定常移流解が満たすべき関係式を導出した.それらを元に,シミュレーション結果を解析することで,渦列構造が電子温度勾配を含むHasegawa-Mima方程式の定常移流解でよく近似されることが分かった. これらの成果は実験では直接計測が困難である電子スケールの乱流揺動から生じる熱輸送機構の理解にとって重要な知見であり,今後の3次元配位への拡張への足がかりもなる成果である.
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Research Products
(4 results)