2010 Fiscal Year Annual Research Report
高温プラズマ中の乱流異常輸送と帯状流の非線形相互作用及び構造形成過程に関する研究
Project/Area Number |
08J04017
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
仲田 資季 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合プラズマ / 乱流輸送 / ジャイロ運動論 / Vlasovシミュレーション / イオン温度勾配乱流 / 電子温度勾配乱流 / ゾーナルフロー / エントロピー伝達 |
Research Abstract |
磁場閉じ込め核融合プラズマにおけるイオン及び電子の異常熱輸送の理解に重要と考えられるイオンあるいは電子温度勾配乱流について,ジャイロ運動論的シミュレーションと理論解析に基づいた研究を進めてきた.以下に,平成22年度に行ったスラブ及びトロイダル配位に対する高解像度シミュレーションから得られた成果をまとめる. 1)前年度まで進めてきたスラブETG乱流の高解像度シミュレーションによって得られた,コヒーレントな渦列構造の形成と輸送レベルの低減現象についての結果を受けて,乱流中に現れる渦列構造や輸送低減がどのようなパラメータ下で生じ得るのかを調べた.非線形シミュレーションによる大規模なパラメータスキャンと理論モデルに基づく解析によって,ゾーナルフロー形成の磁力線方向流れに対する依存性と,上述の渦列構造の形成と輸送低減が密接に関連していることを明らかにした.これらの結果は学術論文にまとめ,Physics of plasmasへ投稿し,掲載された. 2)5次元ジャイロ運動論シミュレーションによって,トロイダルITGおよびETG乱流中に形成されるゾーナルフローと乱流渦との間の非線形相互作用について詳細に調べた.ここでは,これまでの研究において殆ど扱われてこなかった,エントロピー伝達関数(ジャイロ運動論的方程式の非線形項に起因する分布関数揺らぎの3次相関項)の波数空間構造を調べることで,乱流輸送現象と直結した非線形相互作用の解析を行った.これによって,トロイダルITG乱流においては,ゾーナルフローとの相互作用を媒介した,低波数から高波数モードへの連鎖的なエントロピー伝達過程が定常乱流状態において顕著になることを示し,ゾーナルフローによる乱流抑制効果に対して運動論の観点からの理解を与えることができた.また,トロイダルETG乱流においては,ゾーナルフローとの相互作用は弱く,比較的低波数の乱流モード同士でのエントロピー伝達が顕著になることを明らかにした.これらの結果は,近々に学術論文誌に投稿する予定である.
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Research Products
(3 results)