2008 Fiscal Year Annual Research Report
線条体におけるドーパミンD2受容体依存的シナプス長期抑制機構の解明
Project/Area Number |
08J04030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内ヶ島 基政 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 線条体 / ドーパミン / シナプス可塑性 / 直接路 / 間接路 / 遺伝子改変動物 |
Research Abstract |
運動調節および報酬行動に重要な役割を果たす線条体はドーパミンによる強力な調節を受けることが知られている。線条体の投射型ニューロンである中型有棘ニューロン(MSN)は投射先により直接路MSNおよび間接路MSNに分けることができ、両者とも大脳皮質由来の入力線維と多数の興奮性シナプスを形成する。この大脳皮質-線条体シナプスはドーパミンによる制御を受け、とりわけドーパミンD2受容体(D2R)依存的なシナプス長期抑圧(LTD)は線条体の機能発現に重要な役割を果たすものとして知られている。しかしながら、このシナプス長期可塑性の基盤となる分子局在については不明な点が多いため、その分子機構に対する理解は不十分である。そこで本研究では、D2依存的LTDに不可欠と考えられる分子群の局在を明らかにした上で、遺伝子改変マウスの作製およびそのマウスに対する電気生理学解析を行い、形態学的視点に基づいた分子機構を明らかにすることを計画した。本年度は、D2R依存的LTDに関与すると考えられる分子に対して、特異的抗体の作製および免疫組織化学的解析を行い、線条体における局在を明らかにすることを試みた。その結果、D2Rは間接路MSNのスパインや樹状突起、アセチルコリン陽性介在ニューロンの軸索で強く発現したが、大脳皮質由来の興奮性終末での発現レベルは非常に低かった。このことは、間接路MSNの樹状突起とスパインに発現するD2Rかアセチルコリン陽性介在ニューロンの軸索に発現するD2R、またはその両者の活性化がD2R依存的LTDに対して主要な寄与を示す可能性を示唆している。
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Research Products
(7 results)