2008 Fiscal Year Annual Research Report
インポーティンベータ依存的核-細胞質間物質輸送の新規メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J04050
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
大塚 正太郎 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核膜孔複合体 / インポーティン / 核輸送 / 一分子力計測 / 原子間力顕微鏡 / 一分子蛍光観察 / ヌクレオポリン / 核-細胞質間物質輸送 |
Research Abstract |
まず、インポーティンベータと核膜孔複合体の相互作用と、その相互作用に対するRanの影響を明らかにするために、これまでに確立した原子間力顕微鏡を用いた一分子力測定系を用いて、インポーティンベータと核膜孔複合体構成因子(FGヌクレオポリン)の間の相互作用を一分子レベルで解析した。インポーティンベータの点突然変異体を用いた解析により、インポーティンベータの4つの結合ポケットは異なるFGヌクレオポリンに対してそれぞれ異なる結合特性を持つこと、また各ポケットはGTP結合型のRanにより異なる影響を受けることを明らかにした。この成果は核膜孔を介した物質輸送の方向性のメカニズムの解明に大きく寄与するものであり、本成果を学会誌、国際学会において発表した。次に、IBBP1がインポーティンベータと核膜孔複合体の相互作用に与える影響を調べた。ジギトニンで細胞膜および細胞質を取り除いたHeLa細胞に一定濃度のインポーティンベータと異なる濃度のIBBP1を加えたところ、IBBP1はインポーティセベータの核膜孔複合体への結合を濃度比が10:1のときまでは促進し、濃度比がそれ以上になると阻害した。この結果は、IBBP1がインポーティンベータの核-細胞質間輸送に重要な役割を果たしていることを示唆するものである。最後に、核膜孔複合体を通過するインポーティンベータ1分子の動態を可視化するシステムの確立に向け、量子ドット(Q-dot)の大きさや濃度の条件検討や、励起光の強さや画像取得の設定の調節を行った。また予備実験として、GFPタグ付きインポーティンベータをHeLa細胞で発現させ、蛍光消光回復法(FRAP)を用いてin vivoにおけるインポーティンベータの核膜孔通過の速度や細胞質・核膜・核質における拡散速度を測定した。
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Research Products
(4 results)