2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の極性形成におけるCRMP-2の制御機構の解析
Project/Area Number |
08J04053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中牟田 信一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経細胞 / 軸索形成 / CaMKKK / CaMKI / CRMP-2 |
Research Abstract |
報告者は神経細胞の外界シグナルによる極性誘導機構の解明と極性形成分子CRMP familyの結合分子の探索に取り組んだ。 外界シグナルによる極性誘導機構の解明 生体内で神経細胞は、神経栄養因子をはじめとする細胞外因子や細胞接着などの局所的な外界からの情報をもとに極性を獲得すると考えられる。しかしながら、生体内という複雑な環境の中では、細胞外シグナルの解析は非常に困難であった。申請者は細胞の局所にのみ刺激を与える系を確立し、神経栄養因子が未成熟な突起の伸長を促進し、軸索形成を誘導することが判明した。さらに、カルシウムの下流でCaMKKが活性されていることを見出した。活性化型CaMKKを過剰発現させると複数の軸索が形成された。このことは、神経栄養因子の下流でカルシウムというセカンドメッセンジャーが神経細胞の極性化を促進し、軸索形成を誘導することを示唆している。さらにこれらの現象が生体内でも起きているかどうか調べるために、In utero electroporation法(子宮内胎仔への遺伝子導入法)を用いて解析を行った。Trkのドミナントネガティブ体(DN)やCaMKKのDNを過剰発現させたとき、極性化されない細胞の増加や極性化の遅れが認められた。以上の結果は、神経成長因子は神経細胞の極性形成に関与しており、軸索の誘導にはPLC-カルシウム-CaMKIを介したシグナル伝達経路が重要であることを示唆している。 CRMP family結合分子の探索 CRMP familyは5種類のisoformが存在することが知られている。最近、CRMP isoformの違いによって異なる機能を有していることが報告された。また、isoformの違いによって結合分子が異なることも示されてきた。しかしながら、それらの結合分子はほとんど分かっていない。そこで、5種類のCRMP isoformでrat brain抽出液を用いたaffinity chromatographyを行い、新規結合蛋白質を同定した。その結果638種類の結合分子が同定された。現在そのうちの1つであるERKとCRMP isoform間の結合の意義を明らかにし、どのようにして極性形成に関与しているのか検討中である。
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Research Products
(6 results)