Research Abstract |
1.蛍光粒子を点鼻投与したマウス,ラットにおける,嗅上皮,嗅球,嗅脳のイメージング 粒径の異なる3種類の蛍光粒子,量子ドット(10-20nm),蛍光ポリスチレン粒子(40nm),蛍光ラテックス粒子(15,250nm)を,マウスあるいはラットに点鼻投与した。曝露から1,6,24,72時間後に解剖し,嗅上皮,嗅球,嗅脳(扁桃体,梨状葉)の切片を共焦点レーザー走査型顕微鏡にて観察した。観察の結果,量子ドット,蛍光ポリスチレン粒子を曝露した嗅上皮に,粒子の侵入を確認した。嗅球,嗅脳では,粒子は確認できなかった。一方,蛍光ラテックス粒子では,嗅上皮,嗅球,嗅脳ともに粒子は確認できなかった。 2.金コロイドを点鼻投与したマウスにおける,嗅球のイメージング 金コロイド(15nm)を,マウスに点鼻投与した。曝露から24時間後に解剖し,嗅球の超薄切片(約60nm)を作成した。この切片をTEMにて観察した。観察の結果,嗅神経のシナプスで金コロイドと思われる約15nmの球状の物体を確認した。二次ニューロンでは,同様の物体を確認することはできなかった。この結果は,American Thoracic Society(2008年5月)で,ポスター発表により公表した。 3.金エアロゾルを鼻部曝露したマウスにおける,金ナノ粒子の体内動態の検討 金粒子発生装置(APG-200,柴田科学)により発生させた金のエアロゾル(5-10nm)を,マウスに2時間鼻部曝露した。曝露前後と曝露中に,微分型電気移動度測定装置(DMA,島津製作所)にて粒度分布を測定した。曝露から3〜53時間後に解剖し,血液,嗅球,脳,肺,腎臓,肝臓,脾臓内に存在する金を,ICP-MSにて定量した。定量の結果,肺中の金濃度はppbオーダーで増加した。しかし,血液や他の組織中の金濃度は対照群と有意な差は見られなかった。
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