2009 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排気ナノ粒子の嗅神経を介した中枢神経系への侵入に関する研究
Project/Area Number |
08J04062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂井 伸光 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ粒子 / 放射性ナノシリカ粒子 / 体内動態 / PC12細胞 / 粒径 / 粒子表面修飾 / エレクトロスプレー / DMA |
Research Abstract |
1. 放射性ナノシリカ粒子を尾静脈投与したマウスにおけるナノ粒子の体内動態の検討 ナノ粒子はその小ささから気道を通過して肺胞まで到達し,血中へ侵入すると考えられている。既存の研究では,組織全体の移行を検討した報告は少なく,脳への移行に関しても未解明な部分が多い。本研究では,放射性ナノシリカ粒子懸濁液(粒径10,120nm)をマウスに尾静脈投与し,血中を介した他の組織への移行量を定量した。その結果,肺,心臓,脾臓,腎臓で移行量が多く,脳でもわずかに増加した。今後の展開として,ナノ粒子点鼻投与による嗅神経を介した脳への移行を検討する。点鼻投与による脳への移行量と血流を介した脳への移行量を比較することにより,嗅神経を介した経路が脳への移行にどれほどの影響があるかを明確にする。 2. PC12細胞を用いたナノ粒子の神経細胞内への侵入メカニズムに関する検討 ナノ粒子の毒性には物理的,化学的特性が関係していることが示唆されている。細胞内への侵入においても,粒径や粒子表面特性が侵入の機序に関与していると考えられる。本研究では,粒径と表面修飾の違いによる神経細胞内(PC12細胞)への侵入に影響があるかを検討した。その結果,神経細胞内への侵入量は粒径や表面修飾により変化することが示唆された。本研究から鼻腔に露出している嗅神経への侵入にも粒径や表面修飾が関与しているものと推測できる。 3. エレクトロスプレーを用いたナノ粒子吸入曝露システムの開発 ナノ粒子の曝露手法は気管内投与や,静脈投与が主流であった。しかし,実際には吸入曝露が主な曝露由来であり,これらの手法は現実的ではない。本研究では,エレクトロスプレーと微分型電気移動度測定装置(DMA)を用いた簡易吸入曝露システムを開発した。エレクトロスプレーで発生させたナノ粒子を曝露チャンバーに導入し,DMAでチャンバー内に存在するナノ粒子の粒径を測定して粒径分布を継時的に測定できるシステムを構築した。
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Research Products
(2 results)