2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04091
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天羽 正継 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 財政 / 地方財政 / 地方債 / 証券市場 / 日本経済史 |
Research Abstract |
本年度は主として戦前期の地方債市場についての研究を進めた。主な資料は野村證券、山一證券および証券引受会社協会の編纂による『公社債年鑑』および『公債年鑑』であるが、東京大学付属図書館所蔵のもの以外についてはすべて国立国会図書館所蔵となっているため、科研費を利用してそれらの複写作業をおこなった。そして、それらの資料に記載されている民間資金引受分の地方債の銘柄をエクセルに入力する作業をおこなった。この作業は現在も進行中である。また、当初の研究計画にはなかった作業であるが、当時の地方債の流通状況について知るために、東京株式取引所が編纂した通史に記載されている地方債の取引高、取引価格等のデータをエクセルに入力する作業をおこなった。そこから得られる知見については今後検討する予定であるが、これによって戦前期の地方債市場の実相がより詳細に明らかにされると考えられる。さらに、こうした統計資料以外の資料についても調査・収集をおこなった。具体的には、東京大学付属図書館や国立国会図書館に所藏されている戦前期の地方債、地方財政および証券市場に関する資料の調査をおこない、必要なものについては適宜複写をおこなった。また、財務省に所蔵されている歴史的資料についても許可を得て調査をおこなった。以上は戦前期についての研究であるが、本年度は戦後についても若干の研究をおこなった。具体的には、戦後における地方債と地方銀行との関係について検討するべく、指定金融機関制度の発足とその後の推移、特に1970年代に同制度が地方銀行の負担となって問題視されるに至った経緯について、当時の論文や雑誌記事等の調査をおこなった。これは、今後の研究の準備作業としての意義を有している。
|