2008 Fiscal Year Annual Research Report
新奇RNA結合タンパク質・Wnterによる体軸形成とWntシグナルの制御機構
Project/Area Number |
08J04097
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 達雄 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
<研究目的>多細胞動物の発生過程において、前後、背腹、左右の体軸の形成とそれに伴う細胞の増殖・分化の分子機構の解明は、個体発生のメカニズムを理解する上で必要不可欠である。ツメガエルの背腹軸形成を制御する因子を、発現クローニング法によって探索した結果、Wntシグナル伝達系を特異的に促進する新奇RNA結合蛋白質・Wnterを同定した。 本研究は、1)ツメガエル胚と培養細胞を用いたWnterの過剰発現および機能阻害実験によって、Wnterによる体軸形成と発生・分化の制御機構を明らかにする。また、2)Wnterの標的RNAを同定することによって、WnterによるRNAレベルでのWntシグナル伝達制御機構を解明する。これらの解析から、今まで研究が十分になされていないRNAレベルでの初期発生制御のメカニズムを明らかにする。 <研究成果>平成19年度科研費若手(スタートアップ:代表・宮本達雄)では、ツメガエル初期胚のWnter過剰発現実験から、Wntシグナルを亢進する活性が確認された。平成20年度は、より定量的な解析が可能なヒト培養細胞を用いてWnterの過剰発現実験を行った。また、ツメガエル胚でのWnter機能阻害実験に使用するモルフォリーノアンチセンスオリゴ(MO)を設計した。 <成果1>HeLa細胞において、Wnt刺激下で、WnterはAxin2などのWnt応答遺伝子の発現を亢進させる活性をもつことが明らかになった。 <成果2>ツメガエル胚における内在性Wnterタンパク質を検出するために、ツメガエルWnterに対するウサギポリクロナール抗体を作製した。なお、平成19年度に作製したヒトWnter抗体は、ツメガエルWnterを認識できないので、あらたにツメガエルWnterを抗原にした抗体を作製した。さらに、ツメガエルWnter抗体を用いたウエスタン解析の結果、内在性Wnterタンパク質を効率的にノックダウンできるWnter MOの設計に成功した。
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