2008 Fiscal Year Annual Research Report
PKC 活性化剤 Daphnoretin をリードとした新規抗がん剤の開発
Project/Area Number |
08J04135
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳田 亮 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | プロテインキナーゼC / PKC / Daphnoretin |
Research Abstract |
Daphnoretinはジンチョウゲ科植物から単離されたプロテインキナーゼC(PKC)活性化剤であり,副作用の少ない抗がん剤となることが期待されている.しかしながら,その抗がん活性は比較的弱く,これはdaphnoretinの弱いPKC結合能に起因していると考えられている.そのため,PKC結合活性を高めたdaphnoretin誘導体の開発が求められている.最近,PKCと芳香環を有するPKC活性化剤との結合において,CH/π相互作用が重要な役割を果たしていることが明らかにされている.Daphnoretinはビスクマリン環を有するため,PKC結合活性を高めた誘導体を開発するうえで,CH/π相互作用の積極的な利用が有効な戦略に成り得ると考えられた. 本研究では,まず各種PKCに対するdaphnoretinの結合能を評価した.その結果,daphnoretinは既報の培養細胞を用いたホルボールエステル結合阻害試験から予測される結合定数よりもはるかに低いPKC結合能しか示さなかった.次に,daphnoretinのPKC結合能に必要な構造を明らかにするため,daphnoretin誘導体の合成をdaphnoretinの既知の合成経路を基に試みた.しかしながら,いずれの方法を用いても目的物を得ることは出来なかった. これまでの結果から,daphnoretinはその絶対的な結合能が非常に弱いこと,さらに誘導体化が困難であることから,PKCをターゲットとした抗がん剤のリード化合物としては不適当であると考えられた.そこで,今後はdaphnoretinと同様に芳香環を有する天然のPKC活性化剤であるaplysiatoxin(ATX)をリードとした抗がん剤の開発を行う予定である.本研究者らは,ATXの構造を単純化し,合成難易度を大幅に軽減させたAplog類の開発に成功している.
|