2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三田 敏治 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多様性 / 分類学 / 補食寄生 / 寄主 / 形態学 |
Research Abstract |
本研究は,カマバチ科を対象とし,日本産種の分類学的再検討とカマ形態と寄主との共進化現象を明らかにすることを目的とする.カマバチ科は形態的に特殊で農業上重要な天敵を含む興味深い分類群であるが,種間の形態差に乏しく,水田性の種を除いて採集もきわめて困難であるために分類学的な研究が難しいとされる.20年度の実績は下記の通り. 1.日本産カマバチ科の分類学的再検討野外調査や研究機関より借用して得られた約1200個体の成虫標本を材料として,実体顕微鏡及び光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡を用い,外部形態を詳細に観察し分類学的研究を行った.同定には複数の海外の研究機関より借用した模式標本を直接検討した.結果,日本から5亜科10属78種が認められた(業績)2.寄主に関する考察マレーゼトラップを用いた定点調査と定期採集で得られた被寄生寄主の飼育により,5属16種のカマバチについて新たな寄主-寄生者関係を特定し,一部の種では発生消長を記録した.3.カマの形態学的研究Anteon属のカマ形態を詳細に検討し,種の同定に有効な指標を考案した.また,従来カマ形態は側面を中心に記載されてきたが,その立体構造の詳細な形態比較を行ったところ,カマの立体構造の複雑化に連動して歯列の数が増え,配列も変化する傾向が明らかになった.寄主情報は限られているものの,カマの未発達な種は運動性が低いヨコバイ幼虫に寄生し,よく発達する種は運動性が高い若虫から成虫に寄生する傾向がみられた.
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Research Products
(3 results)