2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規キラル有機ヨウ素(III)反応剤の開発とフェノール類の高度分子変換
Project/Area Number |
08J04141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武永 尚子 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超原子価ヨウ素反応剤 / 酸化反応 / 不斉反応 / フェノール / スピロ骨格 / 溶媒効果 / カチオン / ラジカル |
Research Abstract |
本年度は、重金属酸化剤と同様の反応性を示し、かつ毒性が低く取扱いやすい緩和な酸化剤である超原子価ヨウ素反応剤を利用した水中反応の開発およびキラルなヨウ素反応剤の開発研究を行った。 1.水を溶媒として用いることは環境調和の観点から魅力的であるが、ヨウ素反応剤は水に対して溶解性が低く、反応性が著しく低下するため、可溶化と活性化が必要である。ヨウ素反応剤と臭化物塩との組み合わせにより調製できるヨウ素(III)-臭素結合を有する超原子価ヨウ素種を用い、水中合成を検討した。その結果、ラジカル的な反応性とイオン的な両方の反応性を示すことを明らかとし、フェノール誘導体のベンジル位メチレン部位の選択的酸化反応によるアリールケトン類の合成と、ラセミ化を起こさない有用なアルコール類の酸化反応を見出した。 2.ヨウ素反応剤を用いた不斉反応の実現は以前から検討されているが、これまで良好な不斉収率を得た例は一つもなかった。スピロビインダン骨格を有するキラル反応剤を新たに開発し、フェノール類の酸化が比較的良好な不斉収率で進行することを見出した。また、本不斉反応のエナンチオ選択性と用いる溶媒の極性との強い相関関係を見出し、フェノール類の酸化反応における協奏的な反応機構の存在を明らかとした。
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Research Products
(6 results)