2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規キラル有機ヨウ素(III)反応剤の開発とフェノール類の高度分子変換
Project/Area Number |
08J04141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武永 尚子 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超原子価ヨウ素反応剤 / 不斉反応 / 酸化反応 / フェノール / スピロ骨格 / 架橋構造 / 有機触媒 / スピロラクトン |
Research Abstract |
超原子価ヨウ素反応剤は、緩和な条件下で多様な反応性を示す優れた酸化剤として、天然物などの複雑な化合物の合成に利用されているが、その不斉酸化反応への応用の実現は難しく、概して不斉収率が低かった。このような背景下、最近我々は、スピロビインダン骨格を有する新規キラルヨウ素反応剤を独自に設計・合成し、これを用いたナフトール類の分子内不斉酸化反応に成功している。本不斉酸化反応では、興味深い生物活性を示す天然物に多く存在する光学活性なスピロラクトン骨格が得られるため、合成的に有用な反応である。本反応は量論反応であるが、触媒量のヨードアレーンを用いた場合もほぼ同様の化学収率が達成できることも見出している。しかしながら、立体選択性に関しては改善の余地が残されていた。そこで、本研究代表者は、本反応を天然物の鍵骨格の不斉合成に応用することを目指し、本年度は、開発したキラルヨウ素反応剤の立体選択性の向上のため、さまざまな光学活性ヨードアレーンの探索を行った。多様なスピロ骨格を有するキラル反応剤を合成することに成功し、その反応性と不斉誘起能の確認を行った。この結果、キラル反応剤の反応性と不斉誘起能に大きく影響する部位についての新たな知見を得ることができた。さらに、最適化したキラル反応剤を用い基質一般性について検討した。また、より実用的な触媒系の構築を目指し、詳細な検討を行ったところ、我々のキラル反応剤のユニークな架橋構造が高い触媒活性の発現に重要であるということがわかった。
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Research Products
(4 results)